Excelってなんか怖い…から抜け出す“非・理系のための表計算入門”
社会人1〜3年目の皆さん、Excelに苦手意識を持っていませんか?「なんか怖い」「セルとか関数って意味不明」「ミスったら取り返しつかない気がする」
そんなExcelアレルギー、あなただけじゃありません。多くのビジネスパーソンがExcelに対して同じような悩みを抱えています。でも安心してください。Excelの苦手意識は、あなたの能力の問題ではなく、 「正しい学び方を知らないだけ」 である場合がほとんどです。
本記事では、“理系じゃなくてもわかるExcelの基礎”を、苦手意識ゼロの設計で解説します。Excelが「怖いもの」から「頼れる相棒」に変わる、具体的なステップとマインドセットをご紹介します。
こんな人におすすめ
- Excelで「=」や「SUM」が出てきた瞬間に不安になる
- 周りがスラスラ使いこなすのを見て自信を失っている
- 「関数」「フィルタ」「ピボット」が呪文に見える
- 書類作成や集計が遅くて焦ってしまうことが多い
この記事の重要ポイント
- Excelアレルギーは“やり方の知らなさ”が原因
- 「この順番で覚えればいい」学習導線で、苦手意識が消える
- 理解よりも「触って試す」ことがスキルアップの近道
- 覚えるべき機能は意外と少ない
- 社会人に必要な“最低限のExcel力”を3ステップで習得できる
なぜExcelが怖いと感じてしまうのか?
あなたはなぜExcelが怖いと感じるのでしょうか?もしかしたら、「自分は理系じゃないから向いていない」「数字が苦手だから使いこなせない」なんて思い込んでいませんか?
しかし、それは大きな誤解です。「Excel嫌い」は感覚の問題ではなく、多くの場合、“未経験ゆえの思い込み”から来ています。
「Excelが怖い」と感じるよくあるパターン
- セルが意味不明で、どこに何を入力すればいいか分からない
- 数式や関数を見ると、頭が真っ白になって混乱する
- ショートカットキーがたくさんあって、覚えるのが億劫
- せっかく作った表が、ちょっとした操作で崩れてしまいそう
- ミスをしたら、会社のデータ全体に影響が出そうで怖い
Excelに苦手意識を持つ人の共通点は、 「完璧に理解しようとしすぎる」ことと、それゆえに「積極的に触ることを避けてしまう」 ことです。
たとえば、いきなり複雑な関数に手を出そうとすると“Excel恐怖症”になります。まずは「表を作る」「並び替える」といった基本的な操作から慣れていきましょう。自転車に乗るのが得意な人も、最初は補助輪なしでは怖かったはずです。Excelも同じで、まずは転ばない練習から始めるのが重要です。
ステップで学ぶ“表計算”の超入門
Excelの苦手意識を克服するには、効率的な学習ロードマップが必要です。ここでは、社会人1〜3年目のビジネス初級者が覚えるべきことを、3つのステップに分けて解説します。
ステップ①:「表の構造」と「セルの意味」を理解する
Excelの基本は「表」です。そして、表の最小単位が「セル」です。ここを理解すれば、Excelの半分はマスターしたと言っても過言ではありません。
表計算の基本=“1行=1データ”と覚える
Excelにおける表の最も重要な考え方は、「1行に1つのデータ(レコード)をまとめる」ということです。
たとえば、顧客リストを作る場合、1行目には「顧客名」「連絡先」「担当者」などの項目(見出し)を入れ、2行目以降に「A社, 03-xxxx-xxxx, 山田」のように、1社分の情報を1行にまとめます。
この「1行=1データ」という原則を守ることで、後からデータを並び替えたり、フィルターをかけたり、集計したりといった操作が格段にやりやすくなります。
セルの役割・罫線の考え方
- セル: Excelの四角いマス目一つ一つがセルです。それぞれのセルには、文字や数字、日付、数式などを入力できます。セルは「A1」や「B5」のように、列のアルファベットと行の数字の組み合わせで住所が決まっています。
- 罫線: 表の見た目を整えるために使います。印刷したときに分かりやすくなるだけでなく、データとデータの区切りを明確にすることで、視覚的にもデータを捉えやすくなります。ただし、データとしての意味はないので、罫線がなくてもデータが正しく「1行=1データ」になっていればOKです。
ステップ②:最低限の関数を覚える(SUM/AVERAGE/IF)
「関数」と聞くだけで身構えてしまうかもしれませんが、ご安心ください。実務で使うのは、実はごく一部の関数で十分です。まずはこの3つに絞って覚えましょう。
実務で使うのはこの3つ+αで十分!
-
SUM(合計): 指定した範囲の数字を合計します。
- 例:
=SUM(A1:A5)
→ A1からA5までのセルの合計を計算します。
=SUM(A1:A5)
- 使いどころ: 月間の売上合計、商品の在庫合計など。
- 例:
-
AVERAGE(平均): 指定した範囲の数字の平均を計算します。
- 例:
=AVERAGE(B1:B10)
→ B1からB10までのセルの平均を計算します。
=AVERAGE(B1:B10)
- 使いどころ: 営業社員1人あたりの平均売上、顧客の平均購入単価など。
- 例:
-
IF(条件分岐): ある条件が「真(TRUE)」の場合と「偽(FALSE)」の場合で、異なる値を表示させます。
- 例:
=IF(C1>100000, "目標達成", "未達成")
→ C1の値が100,000より大きければ「目標達成」、そうでなければ「未達成」と表示します。
=IF(C1>100000, "目標達成", "未達成")
- 使いどころ: 営業目標の達成・未達成判定、商品の割引適用判定など。
- 例:
これらの関数は、Excelの機能の中でも最も頻繁に使われます。まずは実際に手を動かして、簡単なデータで試してみてください。
ステップ③:並び替え・フィルターで「分析っぽく」見せる技術
Excelの表は、ただデータを並べるだけではもったいないです。並び替えやフィルター機能を活用することで、データの“使いやすさ”が劇的に向上し、まるでデータ分析をしているかのように見せることができます。
データの“使いやすさ”は見せ方で決まる
- 並び替え: データを特定の基準(例えば、売上の多い順、日付の新しい順、名前のあいうえお順など)で並べ替える機能です。
- 使いどころ: 売上ランキングの作成、タスクの期日順整理、顧客リストの名前順表示など。
- フィルター: 特定の条件に合致するデータだけを表示させる機能です。
- 使いどころ: 特定の商品の売上だけを見る、特定の地域の顧客だけを抽出する、未対応のタスクだけを表示する、など。
これらの機能を使いこなすことで、大量のデータの中から必要な情報だけを素早く見つけ出し、意思決定に役立てることができます。
非理系でも使える!覚えるべき関数一覧(5つだけ)
上記3つに加えて、さらに知っておくと便利な関数を2つご紹介します。まずは名前だけ知ればOKです。
- SUM(合計)
- AVERAGE(平均)
- IF(条件分岐)
- COUNT(件数カウント): 指定した範囲のデータの数を数えます。
- VLOOKUP(データの引っ張り): 別の表から関連するデータを引っ張ってくる関数です。少し複雑ですが、これが使えるようになるとExcelでの作業効率が飛躍的に上がります。
Excelが得意な人が実はやっている習慣
Excelが得意な人を見ると、「自分とは違う特別な才能があるんだ」と感じるかもしれません。しかし、実は彼らは「Excelの本質を理解してる人」というより、ただの「反復と真似の達人」であることがほとんどです。
Excelが得意な人が無意識にやっている習慣を真似することで、あなたも着実にスキルアップできます。
- 毎日10分「試すだけ時間」を確保している: 新しい関数や機能を覚えたら、すぐに小さなデータで試してみる時間を毎日少しでも確保しています。教科書を読み込むだけでなく、実際に手を動かすことで、知識が定着しやすくなります。
- 他人のExcelを“観察して真似”している: 先輩や同僚が作ったExcelファイルを開いて、「この関数はどう使っているんだろう?」「どうしてこんな風に表を作っているんだろう?」と観察します。そして、良さそうな部分は積極的に真似して、自分の引き出しを増やしていきます。
- 分からないときはすぐ調べてメモしている: Excelで分からないことが出てきたら、すぐにインターネットで検索したり、詳しい人に聞いたりします。そして、解決策を見つけたら、簡単なメモに残しておきます。次に同じ問題に直面したときに、すぐに解決できるようになります。
- フォーマットをストック化して、効率化している: よく使う資料や集計表のフォーマットをテンプレートとして保存しておき、新しい資料を作成する際に再利用しています。ゼロから作り直す手間を省くことで、作業効率を大幅にアップさせています。
Excelが得意な人=「Excelの本質を理解してる人」ではなく、ただの「反復と真似の達人」なだけです。
よくある壁とその乗り越え方(Q&A)
Excel学習の途中で、誰もがぶつかる壁があります。ここでは、よくある疑問や不安を解消するためのヒントをご紹介します。
Q1. 数式が壊れるのが怖いです…
数式が壊れてデータがめちゃくちゃになる、という恐怖は多くの人が感じることです。この恐怖を消す最も簡単な方法は、コピー前に 「元ファイルのバックアップ」 を作ることです。
何か作業を始める前に、ファイルを「名前を付けて保存」で別のファイル名(例: 「売上データ_バックアップ.xlsx」)で保存しておけば、万が一、数式を壊してしまっても、いつでも元の状態に戻せます。これだけで、安心して色々な操作を試せるようになります。
Q2. 関数が覚えられません
関数を丸暗記しようとするのは、実は非効率的です。関数は、実務の中で 「必要になったときだけ」 覚える方が定着します。
たとえば、「この売上データの合計を出したい」と思ったときに初めてSUM関数を調べ、実際に使ってみる。このように、具体的な目的を持って学習する方が、記憶に残りやすくなります。勉強より実践、です。
Q3. 周囲と比べて自分だけ遅いのが恥ずかしい
周りの人がスラスラとExcelを使いこなしているのを見ると、自分だけが遅れているように感じて焦ることもあるでしょう。しかし、大丈夫です。仕事で本当に重要なのは「スピード」だけではありません。
「再現性」と「正確さ」 も同じくらい重要です。多少時間がかかっても、誰もが同じ結果を出せるように正確な数式を組んだり、誰が見ても分かりやすいシートを作成したりする能力は、非常に価値があります。
そして、スピードは慣れてくれば自然と上がっていきます。焦らず、まずは正確に、そして再現性のあるシート作りを心がけましょう。
まとめ
「Excelが怖い」という感情は、多くの場合、「知らないから」ではなく「触っていないから」生まれるものです。最初の一歩を踏み出すことで、その恐怖は少しずつ薄れていきます。
Excel習得のポイントをもう一度おさらい!
- Excelが怖いのは「知らないから」ではなく「触っていないから」
- 表計算は「3ステップの反復」で誰でもできるようになる
- ステップ①:表の構造とセルの意味を理解する
- ステップ②:最低限の関数(SUM/AVERAGE/IF)を覚える
- ステップ③:並び替え・フィルターでデータを活用する
- 最初の一歩は「SUM関数を打つ」だけで十分
- 上達のコツは「観察→真似→習慣化」
- 苦手意識から抜け出せば、業務効率は劇的に変わります
“Excelが怖い”を卒業する日は、すぐそこです。まずはできることから、少しずつ慣れていきましょう。今日の小さな一歩が、あなたのビジネススキルを大きく向上させるはずです。